公開 : 2023/2/19
有馬温泉には古くから「豊臣秀吉の湯殿がある」との言い伝えがあったものの、その存在は長らく不明でした。その湯殿と伝わる遺構が見つかったのは1995年の阪神淡路大震災がきっかけでした。その遺構を保存しているのが、有馬温泉史料館 太閤の湯殿館です。
太閤の湯殿館の庭園。正面に見えるのは極楽寺です。阪神淡路大震災では極楽寺の庫裏が損壊。ところがその庫裏の下から岩風呂や庭園跡などが発掘されました。
豊臣秀吉が浸かったとされる岩風呂。出土した状態で展示しています。
豊臣秀吉は有馬温泉に頻繁に訪れていたことは知られていますが、その際、別荘「湯山御殿」を造らせたとされ、この地がその湯山御殿があった場所と推測されています。
そして蒸し風呂も出土。地面部分は出土した状態で展示。建物は当時の蒸し風呂を参考に再現したもの。秀吉はここに自分だけの総合温泉施設を造ってたんですねぇ。
出土当時に取られた土層はぎとり断面。
発掘当時の写真。
江戸時代に入って湯山御殿が壊され、その跡地に極楽寺の建物が造られたものの、1695年に火災で焼失。その火事の跡も発掘されました。
また、湯山御殿には金箔の瓦が使われていたとの伝説もあったものの、発掘で出土した1.5tもの瓦の中には金箔瓦は見つからなかったそうです。
太閤の湯殿館は「有馬温泉史料館」でもあり、有馬温泉の歴史をたどることもできます。その展示のひとこま。現在も有馬温泉の特産品となっている有馬籠と有馬人形筆。
太閤の湯殿館全景。
※公式サイト:太閤の湯殿館