公開 : 2022/12/10
有馬温泉は意外にお寺も多いです。そのきっかけを作ったのは行基さん。その功績を讃えて像も建てられています。
有馬温泉は日本三古泉(有馬、道後、白浜)として知られています。飛鳥時代、舒明天皇(593?〜641)、孝徳天皇(596〜654)がこの辺りの温泉に浸かったことで、天皇家御用達の温泉として知られたのが有馬温泉の始まりとされます。が、その後、皇族は温泉に訪れることはなく、有馬温泉は衰退していったそう。
そこに現れたのが、この行基さん。
この地に薬師如来を祀る薬師堂(温泉寺)を建立、さらに医薬を施す施設…今風に言えば医療産業都市を整備、さらには仏教の教えに従った貧民救済施設をつくり、有馬温泉発展の基礎を築いた…というのです。
でもこの話も伝説ではないかという説もありますが、お寺が多いのは事実。そのいくつかを巡ってみました。
まず最初は有馬山温泉寺。
724年に行基によって開創と伝えられています。本堂は洪水や火災で幾度も建て直され、現在の建物は1781年に再建されたそう。
明治時代の廃仏毀釈では廃寺となり、仏像や仏塔などが壊されたものの本堂だけは残され、現在にその姿を留めています。
参道で出迎える信楽焼きの狸。
そういえば有馬稲荷神社では6匹の狐が迎えましたが、ここでは6匹の狸がお出迎え。「6」という数は完全数…いや「六甲山」に掛けてるんでしょうか。
黄金に輝く本尊・薬師如来です。
そして鐘楼。
温泉寺のお隣には極楽寺は593年に聖徳太子が建立したと伝えられるお寺。
現存する本堂は1782年に再建されたもの。本尊は阿弥陀如来。御利益は寺の名の通り極楽往生です。
極楽寺の境内では1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに発見された豊臣秀吉が入浴したと伝わる岩風呂などを展示する「神戸市立太閤の湯殿館」があります。
そして念仏寺。
本堂は現存する有馬温泉最古の建物とされ、1712年に建立。この建物が立つ前には、豊臣秀吉の正室北政所(ねね)の別邸があったそう。この寺の庭園には樹齢270年の沙羅双樹があるのですが、こちらも見られませんでした。本尊は阿弥陀如来。