神戸を代表するランドマーク・ポートタワー。全国にタワーはたくさんありますが、これほどプロポーション抜群のタワーはないでしょう。「鉄塔の美女」と言われるだけあります。
ポートタワーは1963年11月21日に竣工。それまでには、当時としては考えられないような厳しい条件のもと、完成にこぎ着けたと言われます。
当時の神戸市長・原口忠次郎(1889〜1976、市長在任1949〜1969)は、1959年、オランダの港湾都市・ロッテルダムを視察した際、港を一望できるタワー・ユーロマストを見て「神戸港にふさわしいランドマーク」の建設の思い立ったと言われます。
土木技術者でもあった原口市長は「世界でも類を見ないユニークなデザイン」「他都市のタワーに負けることなく世界的な価値観を訴え得るもの」「美しい神戸の街にマッチし市民に愛されシンボルとなること」の条件を示し、数々の案の中から、世界的に前例がない鼓型(数学でいうところの「一葉双曲面」)のデザインが選ばれました。
ちなみに鼓型とはいっても、底辺の直径は約25m、屋上の直径は約15mとなっており、下の方が太くなっています。
しかし、その前例のない形から、設計段階で安全性が厳しく問われ、図面だけではなく、模型による実験が何度も繰り返されました。そして、工事が始まると、今度は軟弱地盤により難工事となったそうです。
1995年の阪神・淡路大震災では周辺の岸壁が崩壊したにもかかわらず、ポートタワーの構造には大きな被害はありませんでした。当時の技術者の安全性へのこだわりをうかがい知ることができます。
念入りな計画で建設が進められたポートタワーには設計段階で、大きな変更を余儀なくされた箇所がありました。それはタワーの色。設計段階ではポートタワーは銀色で計画されていたのです。しかし、航空法の規制により、外側は赤色、内側は白系統の色に変更されました。結果として、その赤色が神戸の風景の中で際立ち、神戸のシンボルとなったのです。
おまけ。2015〜16年頃の元町商店街の川柳大賞受賞作のパネルから。いろんな意味で神戸っ子の生活の中にポートタワーが根付いていますね。
では、そのポートタワーから、神戸の景色がどのように見えるのか、見に行きましょうか。
※参考サイト:日本建設業連合会 神戸ポートタワー
※公式サイト:神戸ポートタワー