いよいよ旧乾邸(1936年竣工・渡辺節設計)の中へ入ります。
まずは正面玄関。高価なタイル画よりも照明に目がいってしまいました。天井に模様を見せる「技」は、旧乾邸と同じ渡辺節設計の商船三井ビルディングのエントランスにも見られます。
玄関ホール
このモザイク模様の床は、船に使われるゴム製のタイルで、夏の暑さや冬の寒さを和らげる効果もあったとか。しかし、現代にその素材はないことから、傷つけたりしようものなら交換ができないそう。
玄関ホールを通り抜けると、豪華絢爛なゲストルームです。
巨大なシャンデリア、そして昼間はシャンデリアもいらないぐらいの開放的な窓。そして吹き抜けになっています。
突き当たりの暖炉に掛かっている絵は小磯良平の作品(現在はレプリカを展示・現物は六甲アイランドの小磯記念美術館所蔵)。
たまたま振り袖の女性が写真を撮られていたので、後ろから撮らせて頂きました。竣工当時、この屋敷に招かれた人の中には和装の人もいたことでしょう。
ちなみに暖炉に掛かる絵の下にはブドウの彫刻がされています。ブドウはたくさんの実をつけることから「富が増える」と縁起を担いだもので、乾邸内の至る所にブドウがデザインされています。
夫人室。洋館なのに、落ちついた和室が設えています。
夫人室の中から。向こうに見える赤絨毯の部屋は食堂。そして、その向こうはゲストルームです。
夫人室と食堂の間の「次の間」。絨毯のデザインがユニーク。なんの模様でしょうか、これ。
勝手口。
見取り図では「事務室」となっている部屋。
リノベーションされていますが、玄関口の手すりが特徴的。
ちなみに1階にはゲストルームも含めて8部屋。配膳室2部屋、台所1室、トイレ2か所、浴室があります。
2階への階段。すごい彫り物!梁にも花の彫刻が。これぞ大金持ちのお屋敷ですね。
壁には広島の厳島神社の大きな絵がかけられています。
では2階へ上がってみましょう。