ポートライナー沿線にある黒い高層ビル・神戸商工貿易センタービル。
1969年竣工当時は西日本で最も高いビルとして開業しました。高さは107m。上の鉄塔を含むと110m。ポートタワー(108m)よりも高い建物です。
完成当時、神戸で高い建物と言えばこの貿易センタービルとポートタワーぐらいしかなかったものと思われます。
上の写真は神戸税関屋上から見た貿易センタービル。周囲に高層ビルが建ち、かつての西日本で最も高いビルは、今では、目立たなくなってしまいました。
ところで、東京に神戸商工貿易センタービルとそっくりなビルがあるのをご存じでしょうか。
東京タワーにほど近い浜松町の「世界貿易センタービルディング」(1970年竣工・高さ152m)によく似ています。実は設計も建設業者も同じ。そして世界貿易センタービルは神戸商工貿易センタービルの翌年に完成しているので、神戸の貿易センタービルの弟分なのです(弟の方が大きいのですが)。
貿易センタービルの特徴は、玄関が「角」にあることです。こういう構造のビルは珍しいのではないでしょうか。
ふもとにある「神戸サンボーホール」。ホールのロゴもいい味出してます。
ポートアイランドに大きなホールができる前は、神戸の屋内イベントのメッカと言える場所でした。
ビルを上から見たときの「辺」に当たる部分。
ところで1995年の阪神・淡路大震災では、震度7エリアに建っていながら、地震の被害はほとんどありませんでした。今から50年以上前の最高の建築技術で建てられたビルでもあったのです。
そして2009年には築100年を見据えた改修工事も行われたそう。少なくとも2069年までは、このビルは残されていく予定。築100年の瞬間も見届けたいものです😓
ビルの中心。エレベーターホールです。正方形のフロアの対角線に通る廊下に向き合うように12台のエレベーターが並んでいます。
ちなみに最上階の26階は貸会議室になっています。最上階からの景色を堪能してみたい方は会議室を借りてみてはどうでしょう?
受付…といっても誰もいなかったんですけどね。
エントランスに飾られた絵「海へ-神戸開港120年への構図-」(田中守・1987年・琺瑯画4枚構成)
1枚の絵が高さ1.8m、幅1.5mの大きさで、全4枚で神戸の四季、神戸の1日、歴史を混ぜながら神戸市内各地の風景を表現しています。一見、抽象画っぽいですが、解説を見ながら10分ぐらい眺めていると「おぉ!なるほど」と理解できるかも。
ちなみにこの絵は左から次のようなテーマで構成されています。
左から
1枚目:春。夜から日の出、神戸開港から明治中期、垂水区、須磨区、長田区の風景
2枚目:夏。午前中、明治中期から昭和初期、長田区、兵庫区の風景
3枚目:秋。午後、昭和初期から戦後、中央区、灘区
4枚目:冬。日の入りから夜、昭和30年代から現在、灘区、東灘区の風景
この絵の特徴として全4枚に「KOBE 1868、1967、COMMERCE、INDUSTRY、AND TRADE、1987 CENTER」の文字が国際信号旗で埋めこまれています。
※KOBE COMMERCE INDUSTRY and TRADE CENTER=神戸商工貿易センター
貿易センタービルの下にあるオブジェ「形の分子(AM5:46の刻印)」(仲亀幸弘・1997)