今や神戸を代表する観光地「風見鶏の館」。
1909年頃、ドイツ人貿易商トーマス氏の自宅として建てられた屋敷で、尖塔の風見鶏が特徴的な建物です。正しくは「旧トーマス住宅」といい、国指定の重要文化財となっています。
外観から煉瓦造りと思われがちですが、建物自体は木造2階建て(+屋根裏部屋と地下室)。煉瓦は外壁と煙突のみ使われています。
2018年10月20日、風見鶏の館「館内探検ツアー」というイベントに参加してきました。館長さんのガイドで、公開エリアはもちろんのこと、普段非公開の地下室や屋根裏部屋まで入れるという建物女子としては見逃せない内容でした。ここではガイドブックにも載っていない「風見鶏の館」の秘密を探っていきましょう。
さて、最初の見所は、いきなり入口にあります。ゲート上部に書かれた「Rhenania」って、何だと思いますか?
これはラテン語でドイツの「ライン地域(ラインラント)」という意味があります。トーマスさんは出身地のドイツへの望郷を込めて、この家を「ラインラントの館」と名付けたようです。
ドイツ語ではなくあえてラテン語で表記したのは、いろんな国の人に訪れてもらいたいという意味があったのでしょうか。
いよいよ1階に足を踏み入れます。でも各部屋の見所は、まずは天井。部屋ごとにデザインが違います。
これは来客を飽きさせないために設計されたためと言われています。天井写真1枚目のホールの天井は日本の寺社の天井をモチーフにしたものだとか。
また、天井写真の2枚目(ピンク色の傘がついた照明)は居間ですが、この照明にワイヤーがたくさん付けられていますが、これは照明を上げ下ろしするためのものだそうです。
居間のテーブルと柱時計
1階奥の食堂にもトーマスさんのこだわりがあります。
写真をよーく見てください。壁と家具が「ドイツの古城」をイメージしてコーディネイトされています。
天井からぶら下がる照明は王冠をモチーフにしています。まさに一国一城の部屋ですね。
玄関入って右手にこぢんまりとある部屋が書斎。このテーブルとイスは「横浜家具」と呼ばれる海外への輸出用の家具で、日本国内で現存しているのは珍しいとのこと。そのため、この部屋は1階では唯一、一般見学者は外から眺めるだけで入室ができない部屋となっています。
そしてホールと書斎を仕切っている格子状の間仕切り。これも本来は「触れてはいけません」レベルの貴重なもので、ユニセフの視察が入ったときに「保存状態が悪すぎる」と指摘されたそうです。
「探検ツアー」では、一般見学者入室禁止エリアにずかずか入れます。この書斎にも入りました。
話は戻りますが、ここの天井も特徴的。書斎は傘をモチーフにしたのではないかとのこと。ここは一般見学者入室禁止なので、このアングルで天井を見ることはできません。
それでは、2階へ上がってみましょうか。
ちなみに左手の扉の奥には地下室と天井裏を結ぶ階段があります。普段、入ることはできませんが…のちほど…。