とも姐の神戸散歩

荒田廉売場跡

公開 : 2021/11/23

荒田廉売場跡

神戸の台所・神戸新鮮市場から5分ほど歩いたところにある住宅街の中に荒田廉売場跡があります。

看板の文字が右から書かれていることから、戦前からあったことがわかります。

荒田廉売場跡

入口付近でおばあちゃんが日向ぼっこ(?)されてましたので、ご挨拶して、中に入らせていただきました。アーケードへ上るための脚立があることから、今も、ここに住まれている方たちによってアーケードがメンテナンスされているようです。

荒田廉売場跡

現役商店街ですらアーケードの維持が大変だというのに、ここでは市場こそなくなりましたが、アーケードはしっかりと残されています。しかもアーケードの骨組みは木製。現存しているのは全国的にも珍しいのではないでしょうか。

荒田廉売場跡

出口の上にはお稲荷さんが鎮座していました。こちらも今もしっかり手入れされていることがわかります。お盆になると提灯も吊されるのでしょうか。

荒田廉売場跡

市場を通り抜けました。ここに面する通りは路地裏でした。

荒田廉売場跡

荒田廉売場は昭和初期には既に存在しており、神戸市の調査で23の店舗があったとの記録があります。

荒田廉売場跡

荒田廉売場がある一角は、実は神戸空襲で奇跡的に被害を免れた地域で、なおかつ阪神・淡路大震災でもほとんど被害はなかったそうです。つまりこのアーケードは戦前から守られてきたんですね。

荒田廉売場跡

一方で新開地や現在の神戸新鮮市場を構成する商店街群は空襲で焼け野原になっていたことから、終戦直後はこの辺りで唯一残った市場だったと考えられます。

荒田廉売場跡

では、なぜ荒田廉売場はなくなってしまったのでしょうか。実は1950年頃には、すべての店は廃業していたと言われています。

神戸新鮮市場の原型となる商店街は1947年頃から再興し、いまや「神戸の台所」を名乗るほどの集客を誇っています。人の流れが新しい市場へ移ってしまったがために荒田廉売場はひっそりと役割を終えたのかも知れません。

そういった意味では、神戸市の近現代史的の貴重な建造物といえます。神戸市は市の文化財に指定してもいいのではないでしょうか。

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