公開 : 2019/6/9 , 写真追加 : 2021/2/28
鯉川筋の南端、メリケンパークの入口前に堂々とした風格を兼ね備えた「神戸郵船ビル」。
1918年に日本郵船神戸支店のビルとして建設。今もオフィスビルとして活用されています。
雨の日に撮影。毎日22時ごろまでライトアップされています。
昼間の神戸郵船ビル。
この建物の正面(ファサード)になるのは東側ですが、側面もいい雰囲気です。背後のビルがなければヨーロッパの街の大通りにいるかのような錯覚になりますね(行ったことないけど)。
このビルが建つ前にはヒョーゴホテルという、当時としては大きな西洋式のホテルがあったそうです。1871年竣工。
ヒョーゴホテルは、地下鉄みなと元町駅の改札にある神戸開港当時の海岸通の絵に描かれています。
シップ神戸海岸ビル4階から撮影した神戸郵船ビル。
建築当初は屋上には銅葺きの屋根と円形ドームがあったそうですが、1945年の神戸空襲で焼失。今はペントハウスが建てられています。
このビルは現代も大正時代の姿を留めているのには、もう一つ理由があります。1995年に神戸を襲った阪神・淡路大震災の前の年、このビルでは耐震補強工事を実施しており、大震災の被害はほとんどなかったそうです。日本の建築技術の凄さを実感させられるビルといってもいいでしょう。
2019年の秋。メリケン波止場前交差点の横断歩道を渡っていたら、いつもと景色が違うことに気付きました。
なんと、長らく神戸郵船ビルだった、このビルの名前が「神戸メリケンビル」という名前に変わっていたのです。
それもそのはず、2019年4月、ビルの所有者が日本郵船株式会社から地元の日本港運株式会社に変わりました。
2019年10月1日には、ビルの名前が「神戸メリケンビル」に変わりました。
国道側の玄関(2021年1月撮影)。
2021年5月撮影。
神戸メリケンビルの荘厳な東側もいいですが、シンプルな裏側も鑑賞ポイントの一つ。でも、先日も触れましたが、西側にはタワーマンションが建設されるため、裏側が見られるのはは今のうちです。
写真右側にはシップ神戸海岸ビル(旧三井物産神戸支店・1918年竣工・河合浩蔵設計)、商船三井ビルディング(1922年竣工・渡辺節設計)も見えます。
さて、このビルの名前が「メリケンビル」と名付けられたのには、それなりに理由があります。
このビルが建つ前の1868年7月、ここにアメリカ領事館が置かれていたのです。これにちなみ、領事館前の海に築かれた波止場には、アメリカを意味する「メリケン(American)」を冠した「メリケン波止場」と名付けられ、その後、中突堤とメリケン波止場の間を埋め立てて作られた公園は「メリケンパーク」と名付けられたのです。