ヨドコウ迎賓館は南北に細長く、なおかつ傾斜地に建てられているため、建物内は複雑な間取りになっています。
1階は玄関のみ。しかも2階への階段だけがあるだけの玄関ホールになっています。その階段を上がると当然2階ですが、2階は応接室と倉庫、給湯室しかありません。当然、見どころは応接室。これが、また技巧的なデザインなのです。
応接室というよりは会議室のような雰囲気。三角形のテーブルを組み合わせて六角形にして、そしてテーブルの辺とイスを合わせるとその空間は五角形に見えるようになっています。
そして写真正面には大谷石で組まれた暖炉。左右の柱にも大谷石が幾何学的に組まれています。
六甲山の麓にありながら花崗岩ではなく、主に栃木県で採石される大谷石(軽石凝灰岩)を用いたのは、アメリカ人建築家・ライトのこだわりなのかも知れません。ライトは東京帝国ホテルの設計でも大谷石を多用していました。奇しくも帝国ホテルライト館完成の日、関東大震災が襲いますが、大谷石を用いた構造は被害は軽微だったと言われています。
そして横から。上部にはたくさんの天窓があり、昼間はここから光をとっていたのでしょうか。いろんな近代建築を見てきましたが、このような構造は、初めてみました。 。
応接室南側の窓。芦屋川と芦屋市街地、そして大阪湾を望むことができます。私がここを訪れたのは2月ですが、春になると芦屋川沿いの桜が見事な景観をなしていることでしょう。
それでは3階に上がってみましょう。
※公式サイト:ヨドコウ迎賓館