〜旧ライオンス邸と伝わる洋館〜
公開 : 2022/7/3
塩屋を代表する異人館・旧グッゲンハイム邸と呼ばれている洋館の山側にあるのが、今回ご案内する竹内油業塩屋寮。この建物は長らく「旧ライオンス邸」という名前で知られていました。
実は歴史的事実から、この建物こそ「旧グッゲンハイム邸」と呼ばれるべき建物だったのです。
グッゲンハイム邸とライオンス邸の名前が取り違えられていたことは旧グッゲンハイム邸2階編で書きましたので、そちらを参考にしていただくとして、ここではなぜ、間違った建物名が広まったのかをご紹介します。
この問題を指摘した明石高専建築科の水島あかね准教授らの論文によると、建築誌『新住宅』1969年8月号に、グッゲンハイムを知る日本人の発言として「最初北側の洋館をニッケル・ライオンズ商会主のライオンズ(J.Lyons)が建て、すぐ引き続いてグッゲンハイム邸ができたように記憶する」と掲載したのが、きっかけではないかとのこと。
以来、ライオンス邸とグッゲンハイム邸の名前が取り違えて、現在まで、広く知られるようになりました。
結局、旧ライオンス邸(と伝わる洋館) は取り壊されず、旧グッゲンハイム邸(と伝わる洋館)とともに、明治時代の塩屋の雰囲気を今に留めています。
※参考リンク: 神戸市塩屋の洋館・旧ライオンス邸と旧グッゲンハイム邸 - 2つの住宅の取り違え問題と新事実について(日本建築学会技術報告集 第28巻第68号・PDFファイル)