公開 : 2022/6/4
2023年5月某日、阪急電車に乗ったときに「阪急昭和モダン図鑑」という展覧会の吊り広告を発見。広告の真ん中には在りし日の阪急三宮駅(1936年竣工、1995年震災で全壊)の写真が目を引きます。そして 「これは見に行かねば!」と神戸を飛び出して、大阪府池田市にある逸翁美術館へやってきました。
「阪急昭和モダン図鑑」展は「阪急」の創始者・小林一三の生誕150年の記念で開催されているもので、阪急電鉄の開業からの広告、戦前からの宝塚歌劇のポスター、映像などの資料が展示されていました。展示物のほとんどは撮影禁止ですが、2件だけ撮影OKの展示物がありましたので、ご紹介します。
阪急三宮駅の模型。
阪急が神戸へ乗り入れた当初、終着点は三宮ではなく、現在の王子公園駅の西にあった上筒井駅(1940年廃止)でした。
そのため、当時の阪急の広告の「神戸から大阪まで35分」の神戸は三宮ではなく「上筒井駅」までの時間でした。展示物にはときどき「神戸(上筒井)」という表記も見られます。1926年当時、上筒井までとはいえ、梅田から35分で結んでいたとは相当な早さです。
ライバルの阪神電車はすでに大阪から三宮まで乗り入れていましたが、阪急は「早さ」を売りに乗客の獲得を目指そうとしていたことがわかります。
1936年、三宮へ乗り入れると「神戸の中心三宮へ・明るい高架・速い阪急」というキャッチコピーと共に梅田まで「特急で25分」という広告が登場します。ちなみに現在は三宮から梅田まで特急で約30分。今とあまり変わらない速さ(今より速い!?)だったんですね。
西宮北口駅に1984年まで存在した「ダイヤモンドクロス」の模型。ダイヤモンドクロスとは垂直に交差する線路のことで、全国的にも珍しいものだったそう。
現在は立体交差化され、ダイヤモンドクロスはなくなりましたが、東西に走る神戸本線に南北に走る今津線が交差していました。
逸翁美術館の銘。
美術館全景。この美術館は阪急創始者の小林一三が収集した美術品を保管展示するために造られました。
※公式サイト:阪急文化財団・逸翁美術館