公開 : 2019/7/27 , 写真差替 : 2022/1/30
最近、神戸で注目を浴びているレトロ校舎、神戸市立春日野小学校。
2018年、神戸市教育委員会は校舎の老朽化とバリアフリー推進を理由に春日野小学校の建て替えを計画しました。建て替え計画はそのままスムーズに進むものと思われました。
※参考リンク:神戸市入札情報・春日野小学校校舎改築工事設計業務 (2018年7月9日)
ところが2019年5月、『神戸新聞』が春日野小学校校舎が全国的にも稀少な建築であることを報道します。
この記事の衝撃は意外な展開を見せます。なんと、神戸市長が教育委員会の建て替え計画に難色を示したのです。
神戸新聞で、春日野小学校の校舎が取り壊されると知り、たいへん驚きました。1932年に建てられ、戦前の校舎として現存する最後の建物です。デザイン性にも優れたこの歴史遺産の保存、活用を図りながら、学習環境の整備ができないものか、教育委員会に再考をお願いしました。 pic.twitter.com/NeeCBNRc5C
— 久元喜造 (@hisamotokizo) May 30, 2019
さて、この校舎、1932年に建てられ、神戸空襲や阪神・淡路大震災をくぐり抜けた貴重な建物でもありました。
八角形の窓枠などのモダンなデザインは『神戸新聞』の報道によると「(完成)当時の建築誌に『近代小学校建築の先端を行く』」と評価されたそうです。
建築物として評価が高いこの校舎は現在も小学校として活用されており、立て替えやバリアフリー化は当然といえます。また、写真を見てもわかるとおり、この小学校には常設のプールがなく、夏には運動場に仮設プールが設けられ、学校としての機能も「時代遅れ」になっているのも事実です。
ちなみに同じ時代に建てられた校舎は、現在、神戸では、この春日野小学校を含め3か所しかなく、そのうち2か所は旧北野小学校(北野工房のまち・1931年竣工)、長田区の旧二葉小学校(ふたば学舎・1929年竣工)と、学校以外の施設として転用されています。
上の写真は、件の校舎よりも後に建てられた北校舎の耐震補強。
[2020年8月29日追記]
神戸市は「春日野小学校整備計画(案)」を公表しました。計画案ではレトロ校舎である西校舎は保存活用しながら、現在の運動場に新校舎を建設する予定。2022年度着工、2025年度完了予定。
※参考サイト:建設ニュース:西校舎を保存活用しながら新校舎を整備/春日野小学校整備計画案を公表
冬に訪れてみました。
木々の葉っぱがいい具合に落ちて、建物全景を見渡すことができます。
この校舎の特徴である星形の窓。
西校舎出入口の脇の壁、左側に装飾があります。また写真ではわかりにくいのですが、廊下天井の梁がアーチ状になっていました。隠れたモダニズム建築です。
2020年9月撮影。北側の門から西校舎。
※公式サイト:神戸市立春日野小学校