公開 : 2021/10/3
諏訪神社の裏道を少し下ってみると、金星台と名付けられた展望台に出てきました。ここは日本の天文学の歴史上、重要な場所なのです。
1874年12月9日10:49〜15:26にかけて、金星の太陽面通過(金星による日食)という珍しい現象がおこり、欧米各国の観測隊が日本各地に駐留して観測を行いました。神戸ではフランスの天文学者ドラクロワと、後に実業家となる清水誠が通訳兼観測隊員として観測を行い、金星の太陽面通過の写真撮影に成功しています。
金星観測記念碑。1902年ごろ建立。
正面にはフランス語で何か書かれているのですが、すっかり風化して読み取れませんでした(風化してなくても読めませんが😓)。実はこの碑、江戸時代の安政の大地震(1854〜1855年に相次いで発生した大地震)で損壊した生田神社の鳥居を再利用したものだそうです。ちなみに、裏側には「金星過日測検之処」という日本語の碑文が掘られていますが、現在は柵が張り巡らされ、裏に回ることはできません。
金星台から見た神戸市街地。真正面にポートタワーを見ることができますが、今からおよそ150年前には、ポートタワーも高層ビルもなく、観測するには絶好のロケーションだったかもしれません。
なお、次の金星の太陽面通過は2117年12月11日に起こるそうです。
金星台にあった謎の塔。金星の太陽面通過を観測するときに使った機材なのでしょうか。
実はこれ、ラジオ塔と呼ばれるもので、昭和初期にNHKが全国の主要な公園に設置したものだそう。NHKがラジオを普及するために、この塔にラジオを設置し、公衆にラジオを聴かせていたのだとか。
勝海舟が神戸で開いた海軍塾にちなんだ「海軍営之碑」と言うのもあるのですが、私が訪れた日は、小さなお子様を連れたお母さんたちが、碑の前で楽しそうに遊んでいたので撮影することができませんでした。微笑ましい光景でしたけどね。