とも姐の神戸散歩

帝国信栄本社屋

公開 : 2019/12/8 , 追記 : 2022/7/22

帝国信栄ビル

JR三ノ宮駅から徒歩1分で出会えるモダン建築・帝国信栄ビル

地味な建物ですが、帝国信栄株式会社のウェブ(Internet Archive)によると「大正12年頃」(1923年頃)竣工とあり、まもなく築1世紀になる建物です。一方で最近、現本社ビルがある土地購入履歴などから昭和初期の建築ではないかという説も出ています(後述)。

帝国信栄ビル

いずれにせよ、社名が右から左に書かれてるところに歴史を感じます。それもそのはずで、帝国信栄株式会社は現存する不動産会社では日本最古だそうです。

正面玄関両脇の柱の上部に金具を止めてオシャレしているところがおちゃめです。

帝国信栄ビル 帝国信栄ビル

柵の金具が建物の外壁に突き刺さっているのは面白いですね。場所柄、違法駐輪も多く、さらに外にコーンが設置されています。

ちなみに設計は御影公会堂旧神戸生糸検査所(現・KIITO)を手がけた清水栄二といわれています。

帝国信栄ビル

建物を遠巻きに見てみるとこんな感じ。パチンコ店の裏手、飲食店が多く建ち並ぶ一角にあります。

※公式サイト:帝国信栄株式会社本社ビルについて

[2020年12月18日追記]
私のInstagramに、帝国信栄株式会社様から、本社ビルについて興味深いコメントをいただきました。転載の許可も戴きましたので全文掲載いたします(文中の脚注は私の補足)。

ご興味お持ちいただき、ありがとうございます。

私共は京都華頂大学の教授で、清水栄二氏について研究、論文(※1)を発表されたり、本を出版されている川島智生教授のお話を参考にさせていただきHPを作成しております。

建物としては大正9年に清水栄二氏設計によって建てられた大阪宝文館に共通する部分が多いそうです。

以前、御影公会堂に見学に行かせてもらう機会があり、建物内を拝見させていただきましたが、アプローチや基礎の材質が同じものが使われていたりして初めてお邪魔したにも関わらず自分の会社にいるかのような不思議な感覚がありました。

ご指摘がある部分(※2)に関しては資料があまりなく不透明ではありますが、数十年清水栄二氏のことを研究されている川島教授のお言葉の方が信憑性が高いと私共は思っております。

私共といたしましても、こういう風に興味を持っていただけるだけでも大変ありがたいです。

※1
『建築家清水栄二の経歴と建築活動について』(川島智生・日本建築学会計画系論文集第544号・2001年6月)の建築作品一覧に「1923年 帝国信栄株式会社、RC 3F 私的設計・三宮支店」と記載されています。ただし「3F」となっていますが、現存するビルは2階建てです。

※2
SNS上で「帝国信栄ビル昭和初期竣工説」がささやかれています。この説によると「大正12年頃」竣工とあるのは、現在の本社ビルではなく、当時、同社の本社が入居していた「旧司法書士会館」(1924年ごろ竣工、1994年解体・清水栄二設計と推察、中央区楠町に存在した)のことで、現在の本社ビルは土地の購入履歴などから昭和初期竣工ではないかとする説のこと。いずれにせよ、現在の本社ビルは、もともと同社が建てたビルではなく、2020年現在、竣工当時の資料は見つかっていません。このままビルが残存すると登録有形文化財指定の可能性もあることから、今後の研究が待たれます。

[2022年7月22日追記]
私が2年前に予言した「登録有形文化財指定」が的中しました!
2022年7月22日、国の文化審議会は、同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに136件の建造物を登録するよう文部科学大臣に答申を行うとのこと。この136件の中に「帝国信栄ビル」(登録有形文化財名称「帝国信栄本社屋」)が含まれました。

2020年12月に追記でも触れましたが、文化財指定となると竣工年が気になりますが、兵庫県教育委員会の記者発表資料によると「昭和前期」説をとったようです。

帝国信栄のウェブでも竣工年が「昭和前期」に修正されました。

なお、登録有形文化財指定に伴い、このページのタイトルも「帝国信栄ビル」から「帝国信栄本社屋」に変更します。

※参考サイト:兵庫県教育委員会文化財課・文化財建造物の登録(国登録有形文化財)

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